日銀の嘘~日銀を信じ続けた男の末路~(コラム2)

第2回目のコラムは日銀介入の思惑と市場参加者の受け取り方の違いについて。前回はこちら「天才トレーダー現る~才能があるトレーダーとは?~

2022年9月22日、日銀介入がありました。

当時から財務大臣は「投機による過度な変動は容認出来ない」という旨の発言を繰り返しており、円高にするという発言は一切ありませんでした。

※この発言を要約すると、「ゆっくりとした変動で円安にしたい」(笑)。まあこうなります。

つまり、何が言いたいかというと
政府としては円高にしたいのではなく円安の方が都合が良い。

ただし、あまり急速な円安だと問題があるので対応している。という事になりますが、
どうでしょう。ゆっくりになりましたか?

10月15日のドル円相場 4時間足
10月15日のドル円相場 4時間足

一か月も経たない内に150円に接近しています。※チャート時点のレート、148.8円

このチャートで特に見て頂きたいのは介入で下落して、止まった値位置です。

140.345円。

なぜ、このレートで介入をやめて
それ以降150円近くまで何もしないのだと思われますか?

日銀が、140.3円で介入をやめた理由

政府高官から本音を聞き出すかリークが無い限り実際の意図は知りようがなく、勝手な推測に過ぎません。ただ、チャートが物語っています。

140.379円がフィボナッチリトレースメントの0.236。1990年4月高値160.4円と2011年11月75.565円安値から出せる割合です。※つまり1990年以来最も重要な値位置の一つ。

0.236を押し目にした場合、次の数値は0.125(ギャンリトレースメント)のある149.796円です。政府が予定していた通りに来たようです。

介入があった日も、何かおかしい・・とは感じていました。

  • 円安を一旦止めるつもりなら、最低限130円台に抑えるべきではないのか。
  • なぜ、割らなければならないラインの上、丁度で介入をやめるのか。
  • これではまるで、上昇させるための押し目を作りに行っているみたいではないか?

嫌な予感は当たっていたかも・・

実際、2日で介入時のレートにほぼ近づき(76.4%戻し)、そのまま翌月を迎えました。

急速な円安を本当に止める気があるのなら、9月末時点で再度介入し、140円を一度割る必要があります。

「急速な円安を止めるという意図で行われた介入」だと私は勘違いしており、違和感はありながらも、『当然月末にもう一度介入をやるだろう』と信じていました。

こうタカをくくっていたのが読み間違えた原因ですね。

その後は、ご存知の通りの状況です。チャートに残っているのは「さらに円安にするために押し目を作った」という日本政府の意図です。

それでも一般の方には「政府が円安に対抗してくれている」ように見えているのでしょう。

「投機による過度な変動は容認出来ない」

2022年の始値115.09円~現在の10月15日(記事執筆時点)148.72円、
1年間で33円以上の円安になっています。

これが過度な変動で無いなら何が過度な変動なのか・・。

月足で見たドル円 10月19日時点
月足で見たドル円 10月19日時点 チャートの時点ではさらに伸びている!34円幅突破

アベノミクスがあった2012年~2014年のドル円上昇においても、実は1年間のボラティリティでは20円も伸びていません。※どれも20円未満※始値から高値を年間で計算した場合(=始値から伸びた値幅)

今年のドル円の変動幅は1987年以降初めての事であり、明らかな異常事態です。そして、それすら更新しようとしています。※1987年の下落は38円幅だった

今年の目標値は元々151円だった!?

10月15日のドル円相場 4時間足
10月15日のドル円相場 4時間足

チャートに薄い緑の水平線で載っているのが「年の目標値」という私が開発した手法です。

※年の目標値は、勝ち方実戦編フリーパスプランで教えている手法です。

よほどのボラティリティが無ければ到達する事がない、最大限に伸びた時の目標値。それが151.677円。

その一つ手前の目標値144.758円には9月に到達しました(だから2か月間も抵抗になっていたのですが)。※チャート中ほどの細い線

9月の終値でそのラインすらブレイクしています。

FXトレーダーと政府の思惑のずれ

金利は上げないが、力(介入)でねじ伏せてこれ以上円安にもさせない。暴挙に思えるこのジャイアン的な発想に私は介入の時、「日銀惚れるわあ」(笑)と思っていましたが、それが失敗でした。

次のようになったわけです。

ドル円4時間足 10月14日

調子に乗って200万円行かれました(笑)。

ただご存知の通り、147円→148円→149円と、その後進んでいます。146円で損切りしていなければ・・。※損切り位置は適切!

介入時に最高値から売っていましたから、利食いすれば良かったのですが(笑)
「ギャンのサイクル理論」動画企画でやっていたので、利食いは出来ませんでした。

※「ギャンのサイクルを考える(実践編)

その後!(脱線:追記)

ドル円、ついに売られましたね。2日前に『今年の目標値は151円だよ』とお伝えしておいたので、会員様の多くは損失を免れたはず。天井から売っている人もいますよね?熱い4時間でした(笑)。

4時間で20万円、コスパ最高の逆張り!(ドル円151.6→146)

→なお、「20万円GET」と書いてありますが、その後約100万円の利益になった売買です。

ドル円151.677

構図が違うのです。

  • 米国の思惑 ドル高(円安)
  • 日本の思惑 行きすぎた円安→円高 ではなく米国と一致したドル高(円安)思想

米国VS日本 であれば、ドル円の逆張りは勝機がある。しかし、

米国&日本=ドル高(円安)推奨ではドル円の逆張りについて勝機は無い。

アベノミクスから目指してきた円安に今、ようやくなったわけですね。黒田さんも円安が日本経済にプラスという考え方を貫いておられる方です。

介入で円安に対抗したように見せかけてはいるが、
実際の日本政府の行動は円安を助長しただけ(押し目になる値位置で止めた)。

途中、5回は130円台へ抑え込めるタイミングはあった。が、使える米ドルの100分の1程度(2兆円)しか使わなかった。

この話の教訓です。

トレードでは、誰も信じるな。

この話で何を伝えたかったのかというと、私のように政府を信じるようなお人好しは
「凡人」だという事です。

相場にあるのは「裏を斯く(かく)」ための画策と、「出し抜く」ための売買。

政府すら信じられない世界だというのが残念ですね。

まとめておきます。

まとめ

事実は次のようになります。

  1. 介入を140.3円(一番押し目になる値位置)でピタリと止めた
  2. 日経平均のETFによる買い支えは2022年9月11億円※日銀HP
  3. 指値オペは毎日実施中 →金利差ますます広がり、円安増長
  4. 9月22日の介入は保有している米国債の売却の模様
  5. 145円の介入以来、150円近くまで目立った介入の値動きは見られない
  6. 細かな介入もどきはあるが、タイミングが全て押し目になる時

つまり、日本株が下落せず、円安になる方がトヨタなどの外貨を獲得している企業にとってはプラス材料ですからね。

もちろん国内の中小企業や輸入企業は悲鳴を上げていますが、それは政府にとっては小さな話なのでしょう。

米国債を売却して介入していた?

財務省の外貨準備等の状況
財務省の外貨準備等の状況(オープンになっている) ※財務省HP(外貨準備の状況)へ

この表から「どうやら、先日の介入は米国債を売却したのではないか?」という事が伺えます(間違えていたらごめんなさい)。

金利と債券は逆行しますから、米国債を7兆円分売ったら金利が上がります。金利が上がればドル円はさらに上昇します。そのお金で介入している。

ブレーキを踏みながらアクセルを踏む。そんな感じです。(笑)

果たしてこれが、円安に歯止めをかける行動でしょうか?

私は違うと思います。

金融政策はあくまでも円安を向いている。介入はパフォーマンスでしょう。わざと失敗してさらに円安にしている。

円安にするための押し目を作り、円安に対抗しているように見せかけつつ、150円近くで介入(利食い?)したら保有している米国債や米ドルの換金率はその分良さそうですね。

重要なのはテクニックをどれだけ保有しているか、ではないのです。

誰が得をして、誰が損をするのか。

日本政府やFRBの思惑はどこへ向いているのか。これがトレンドを作り上げますし、
逆張りならドル円ではなく日経平均の方がその意味で可能性が高いのです。※日経平均ETFの政府買い入れは9月も実施

日本政府として、株の下落は困る。円安は歓迎。

この立場通りの行動です。

誰が悪いわけでもなく、初志貫徹しているだけです。

なお、今年のドル円は特に、ですが
そもそもFXではドルストレート自体があまり逆張り向きではなく、クロス円の方が向いています。※現に、同タイミングで天井から売ったポンド円は400PIPS以上取れています。

私は介入時に、ほぼ最高値(145.5円)から売っていました。天底を取る技術は持ち合わせています。介入時に天井から売れたトレーダーはほとんどいないでしょう?

しかし、日銀や政府の思惑を読み違えていた、という事です。それは凡人です。だからその後の値動きを間違える。

せめて、140.3円のラインをもう少し信じていれば。

結論と教訓

「トレードでは、誰も信じるな。」

と、もう一つ教訓があります。

市場選びがとても重要です。一番重要かもしれません。※目の付け所ですね。

2つの教訓をシェアしておきました。

最後に、キレキレだった頃(今年前半)の売買の画像を載せておきます。※今は騙されているようでは(笑)、お話にならないくらい落ちぶれていますが。

ドル円の売買
ドル円の売買 3月頃はこうして調整していた!これが普通の値動き
ナスダックの売買
ナスダックの売買 ナスダックの下落前に天井丁度で利食いする

今年前半に動画撮影しながら行った売買です。

シンプルデイアンドスイング♪、とシンプルデイアンドスイング♪(勝ち方実践編バージョン)

P.S.

今回お話した(最初に)「ドル円の押し目140.379円のラインに付けたら、149.796円(ギャンリトレースメント)を目指す」という話。そして、日銀介入はわざと失敗したという話は、実は10月2日時点でTwitter記事でも書いた事です。→Twitter記事へ

ご興味がありましたらどうぞ。

そして、記事を更新している10月20日。ついに149.796円に到着しました。

次回のコラムもお楽しみに。

次はかなり凄いですよ。

最終的に、ドル円介入は2回とも天井で売りました。

これが出来た手法は知るところ、「年の目標値」以外には無いのでは?

当時それをやってのけたトレーダーも私以外に知りません。

年の目標値が使える方法はこの2つの記事でどうぞ。